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私は某メーカーで営業をしています。ワキガの手術をしようとしたきっかけは、会社の忘年会で言われた同僚のひとことにショックを受けたからです。
もともと体育会系の私は、高校ではじめたバスケットを社会人になった今でもやっています。いつも、運動部の部室は汗臭いものですから、自分のニオイなんて、あまり気にしていなかったんです。なにしろ、試合後のロッカー室なんてだれの体臭かなんて分からないほどでしたから。
ところが、私はひどいワキガをもっているようで、それを思い知らされたのは、何年か前の忘年会のことでした。
その年は、消費低迷の波をもろに受け、私の営業成績も上がらず、会社全体も意気消沈気味で、忘年会もなんとなく盛り上がりに欠けたものでした。リストラされた役員も何人かいて、なんだかちょっと湿っぽい雰囲気もあって、ぜんぜん年忘れというという気分ではありませんでした。
なんか飲み足りないなぁという気もして、仲がよい7〜8人で、パッと不景気を吹き飛ばそうと、カラオケに行くというので、便乗することにしたんです。さんざん飲んで唄って熱気づき、上司の悪口やらなんやら、もういいたい放題の状況になりました。そんな中で、一緒に営業にまわっていた先輩の一人が、かなり酔っぱらっていていまして、
「美子、相変わらずニオウね〜。この前、得意先に行ったとき、先方もつらそうだったよな。たぶんあれで契約がポシャッちゃったんだよな」
といい出したのです。私は
「なにいってんのよ。そんなことがあるはずないじゃない」
と軽くかわそうとしました。でもそのとき、酔っている周りのみんなの顔が一瞬マジになったんです。
それまで自分が人に迷惑をかけるほど臭うなんて、思ってもいなかったので、そのときのショックはたいへんなものでした。ニオイは別として、汗っかきなのは自分でも自覚がありました。でも体臭なんてものは、だれでも多かれ少なかれあるものじゃないですか。でも私の場合はその限度をどうしても超えているようでした。それからというもの、自分のニオイが気になり始め、周りの人に対しても、ビクビク・オドオドしていました。仕事がうまくいかないときなどは、ノイローゼ気味になってしまうことさえありました。
もちろん朝晩のシャワーは毎日欠かさず、ワキの下は殺菌用の石けんを使って、ブラシでごしごしと丹念にこすり、その後で制汗剤のスプレーを片方に20秒ぐらいはするようにしました。
そんな努力にもかかわらず、朝の通勤ラッシュにあうと、いっぺんに汗でぐっしょりになりました。周りの人にも気をつかいますし、会社につく頃には、本当にヘトヘトといった感じでした。
会社に着けば着いたで、制汗剤もろともブラウスが体に貼り付いて、なんとも奇妙なニオイがするので、夏でもジャケットを脱ぐこともできないありさまでした。何とかしなければと思っていたある日、学生時代の運動部の仲間から電話があったので、さりげなく話題にすると、友人は、
「じつは、うちの家族もみんなワキガ体質なのよ。私のうちでは、妹がすごく気にしててさぁ。ついこの間、ワキガの手術を受けたのよ」
友人の話によると、なんでも妹さんは美容整形外科で治療をしたとのこと。なんだかちょっと怖いなあとは思いましたが、仕事を休む必要もなく、痛くも何ともないと聞いて興味をもちました。さっそく電話番号を聞き電話をしてみると、傷も残らず、1時間程度で終わるとのことでした。「それなら」、即、アポをいれてカウンセリングを受け、手術を決めたのです。
先生もやさしく、手術は非常に簡単なものでした。こんなに簡単で大丈夫かな、再発するんじゃないかなと心配するほどでした。けれども、もう1年近くたちますが、ワキガが臭うことはまったくありません。ひどかった汗もなくなり今まで黄ばんで着られなくなっていたブラウスも長持ちするようになりました。
それと同時に営業成績も伸びだし、同僚とのコミュニケーションも円滑になったような気がします。まあ、営業成績のほうは新規事業の立ち上げで、部署が変わったためだと思いますが、人間関係がスムーズになったおかげなのかもしれません。
大げさなようですが「たかがワキガ、されどワキガ」という感じで、手術を受けてたことが人生の転機になったようです。でも気づかないとということは本当に怖いことですね。今までは女同士の付き合いが多く、あまり異性に対して積極的でなかった私ですが、実はちょっと気になっている男性がいるんです。仕事が順調なせいか、自分にも自信がついてきました。近いうちに彼を食事にでも誘ってみようかなあと思っている今日この頃です。
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